数あるボードゲームの中で最も古い歴史があるゲームの一つといわれる「バックギャモン」。飛鳥時代以前に日本国内に伝来し、日本人にとっても馴染み深い伝統ゲームです。日本選手権や王位戦など、さまざまなタイトル戦が国内で開催され、大きな盛り上がりをみせています。
悠久の歴史を持つバックギャモンとは、どのようなゲームなのでしょうか。ルールや遊び方を調査してみました。
バックギャモンの基本情報
バックギャモンとは、世界各地で親しまれている1対1のすごろくゲームです。各地で流行と衰退を繰り返す中ルールの確立と刷新が繰り返され、ゲームの面白さが徐々に増していきました。遊戯人口は約3億人といわれており、ボードゲーム業界において最多です。
例年、3日間にわたって開催される国別対抗の世界チーム選手権では、実力者が激しく火花を散らしています。趣味でプレイし始めたところ、トップレベルの試合に参戦するようになった日本人選手は少なくありません。
- プレイ人数:2人
- プレイ時間:5~60分
- 対象年齢: 6歳以上
- ジャンル:すごろく系/戦略対戦系
- 発売年:古代
- 発祥国:エジプト
バックギャモンとはどんなゲーム?
最大の特徴はゲームに使用するボード。Xに投稿されている写真の通り、ボードはマス目の役割を果たす三角形(通称:ポイント)が24個ほど描かれており、6個のポイントごとに盤面が4分割されています。手前の盤2枚が自陣です。左側を「自分のアウター」、右側を「自分のインナー」と呼びます。15個のコマをサイコロの出目に従って進行させ、いち早く自分のインナー(第1~第6ポイント)に集めてゴールさせたプレイヤーの勝利です。運の要素が含まれているものの、先読みする能力や判断力も欠かせません。
バックギャモンの遊び方
出典元:幻冬舎エデュケーション局
まずプレイヤー2人分のコマ30個を規定のポイント8カ所に配置。続いて攻撃の順番を決めましょう。プレイヤーそれぞれサイコロを1つ振り、大きい目を出した方が先攻です。出目の数ぶんだけコマを前進させます。その後は、1回の攻撃につき2つのサイコロを振ることが可能。基本的に1~4つのコマを動かせます。
続いてはコマを動かすうえでの注意点や細かいルールを確認していきましょう。
サイコロを進められる条件
サイコロの出目が2回以上、コマに与えられた時には、必ず分けて動かさなければなりません。つまりサイコロの出目数分、一気にコマを進めることはタブーです。例えば4と3が出た場合には、1つのコマを4マス、他のコマを3マス進行させる必要があります。
また、自分のコマを進められるポイントは、相手のコマが1つ以下のポイントのみです。相手のコマが2つ以上あるポイントには、自分のコマを置けません。進路妨害がゲーム展開を左右するため、双方の進捗状況とコマの配置の把握を入念に行うべきです。
ふりだしに戻ることも!
自分のコマを相手のコマが1つだけあるポイントに進行させた場合には、形勢逆転のチャンスです。ポイントにある相手のコマは、ふりだし(第24ポイント)に戻らなければなりません。そのため、ボード中央の仕切り部分に移動します。その後ボード内に復帰する時は、サイコロを2つ振り、どちらかの出目数ぶんのみ進行可能です。ふりだしに何度も戻れば、かなりのロスタイムが生じるため、2つのコマを重ねて置くように心がけましょう。
サイコロの出目がゾロ目の場合
サイコロの出目がゾロ目の時は、コマの動きがイレギュラーです。出目の2倍の数だけコマを動かせます。例えば、サイコロの出目が3と3の場合は、3マスの進行を4回ほど行うことが可能。相手の攻撃を挟まずに自分のコマを一気に動かせるため、ゲーム展開を有利にする絶好の機会です。いずれのコマを動かすべきか慎重に判断してください。
すべてのコマを自分のインナーに集めたら
自分のインナー(第1~第6ポイント)に自分のコマがすべて集まった状態(ベアリングイン)になれば、サイコロの出目に応じてコマをゴールさせることができます。ただし単純にコマを進められるわけではないので要注意。ベアリングインでは、サイコロの出目数と同じ数のポイントに置かれているコマ2つを取り出せます。例えば出目が3と4ならば、第3ポイントもしくは第4ポイントにあるコマが取り出せる対象です。この時もし第1ポイントと第2ポイントにしかコマがなければ、最後尾である第2ポイントのコマを取り出してOKです。
特例ルール:ダブリングについて
「ダブリング」は、プレイヤーがサイコロを振る前に「勝敗が決まった時の点数を2倍にしませんか」と提案できるルール。点数を増やしてギャンブル性を高める、おおよその大勢が決まっているゲームを早めに終わらせる、これら2つの意図があります。
提案されたプレイヤーが断れば、その時点でゲーム終了です。提案したプレイヤーの勝利となり、1点が加算されます。もし提案が容認されればゲーム続行。提案されたプレイヤーがさらに「ダブリング」を持ちかけて適用されれば、ゲーム終了時の得点が4倍になります。
ポイントマッチ制
開始前に最終的な勝利条件の点数を決めて、複数回ゲームを行うポイントマッチ制が一般的です。勝利方法によって得点数が異なるため、頭に入れておきましょう。
1つ以上のコマを相手が取り出していれば1点、まったくコマを取り出していなければ2点が加算されます。さらに相手のコマが自分のインナーに残り、まったく取り出されていなければ3点です。いかに相手を圧倒するかによって、得点数に差が生じます。
初心者向けの戦略はある?
バックギャモンでは、15個のコマを相手よりも早くゴールさせることが勝利条件です。自分のコマの進行、相手のコマの妨害、この2点を意識する必要があるのですが、具体的にはどのように戦略を練るべきなのでしょうか。
妨害の方法
相手のコマの進行を妨害するには、自分のコマが2個以上あるポイントを増やすこと。前述の通り、相手のコマが2個以上あるポイントには自分のコマを置けません。コマを動かせるポイントが少なくなれば、なにもできない手番が増え、おのずと進行が停滞します。また、ゴールに最も接近している相手のコマをふりだしに戻す攻撃も効果てきめんです。出ばなをくじかれると、精神的にもこたえますからね。
コマを進行させるコツ
初心者は、相手に妨害されて思い通りに進行できないという状態に陥りがちです。そのためコマの動かし方の基本やセオリーを学ぶ作業が大切。
ゲーム開始時点、プレイヤー双方のコマの配置は決まっており、ふりだし(第24ポイント)に2つ、第13ポイントと第6ポイントに5つ。第8ポイントに3つです。序盤にどのサイコロの目が出たら、いずれのコマを動かすべきだろうか、いくつもパターンを考える中で自分なりの戦略を発見できるはずです。
プレイするうえでのマナー
プレイ中に最低限守るべき3つのマナーがあります。第1に、コマを雑に扱うことはNG。片手でコマを取り、相手が目で追えるスピードで動かすのが理想です。両手でコマを早く動かすと、相手が混乱してしまいます。第2に、サイコロを振る時は専用カップに入れて、しっかりシェイクするのが基本です。シェイクの仕方によっては出目を不正に操っていると思われかねません。
第3に、ヤジを飛ばしたり、相手のコマを勝手に動かしたり、勝負に水を差す行為はタブーです。マナーを守ってこそ楽しいゲームが成立することを理解しておきましょう。
まとめ
バックギャモンとは数千年の歴史を物語るように奥深い醍醐味があるゲームです。サイコロの出目やプレイヤーの戦略によってゲーム内容が変化するため、何度もプレイする楽しみがあります。一朝一夕でスキルやノウハウを身に付けられないものの、地道にプレイ回数を重ねるうちに強者とも互角に戦えるようになるはずです。ぜひ一度バックギャモンに挑戦してみてください。