音楽グループ・19の作詞家として有名な326(中村満)さんがイラストとゲームデザインを手がけている「ito」。2019年に発売して以降、多数のメディアで紹介されている話題作です。「ito」のルールを改良した「ito レインボー」などの派生作品も発売され、2022年8月時点のシリーズ累計発行部数は10万部を突破。人気が衰える気配はありません。
そこで今回は、「ito」の魅力に迫り、ルールや遊び方を調査しました。
「ito」とはどんなゲーム?
「ito」は1~100の数字が記載されているナンバーカード100枚を使い、テーマに沿って会話を繰り返すパーティーゲームです。プレイヤー個々が手持ちナンバーカードの数字を伝えなければならないのですが、数字そのものを言うことはできません。そのため、表現が伝わりづらい歯がゆさや、価値観の違いを楽しめます。大人も子供も有意義な時間を堪能できる点が大きな魅力の1つです。また「ito」には「クモノイト」と「アカイイト」という2種類のルールがあるため、飽きることなくプレイできます。
- プレイ人数:「クモノイト」2~10人、「アカイイト」4~10人
- プレイ時間:約30分
- 対象年齢: 8歳以上
- ジャンル:協力系/お題系
- 発売年:2019年
- 発祥国:日本
「クモノイト」
「クモノイト」は完全協力型の3ラウンド制ゲームです。舞台は、とある悪党のアジト。そこに幽閉されている正義の盗賊団・クモのメンバーを脱出させるために、参加プレイヤーは協力して手持ちのナンバーカードを消化します。第3ラウンドをクリアできれば、クモのメンバーの脱出成功となり、プレイヤーの勝利です。しかし、ラウンドの途中でライフが全滅すると、プレイヤーの敗北が確定します。それでは具体的な遊び方を確認しましょう。
「クモノイト」の遊び方
出典元:アークライト公式チャンネル
まずはナンバーカード100枚を束ねて十分に混ぜ、裏向きの状態で場に設置。この山札からプレイヤーそれぞれが1枚ずつ引いて手札とし、記載されている数字を確認します。続いてテーマカード50枚を混ぜて山札を作り、そのうちの2枚をオープン。プレイヤー皆で話し合ってテーマを決定します。テーマカード1枚につき2つのテーマが記載されているため、どれが最も皆で話しやすいテーマであるかを吟味して選択するのが理想です。
数字を言葉で表現
テーマが決まれば、いよいよ本格的にゲーム開始。テーマに沿って、手札の数字を言葉で表現します。例えばテーマが「うつくしいもの」ならば、手札の数字が小さいほど「美しくないもの」、数字が大きいほど「美しいもの」を発表しましょう。この時、「晴天の日の富士山」や「行列に割り込みする大人」のように、形容詞を駆使すると大いに盛り上がります。尚、発表に関する厳しい制限はありませんが、いずれかのプレイヤーが数字をそのまま言った時点でゲームオーバーです。
数字の大小を推測
プレイヤー皆が発表したら、フリートークに移行。各プレイヤーの数字の大きさを把握するために、互いに相談します。それぞれの持論のすり合わせだけでなく、発表の内容に対する質問とその回答を重ねましょう。ここでも数字そのものを口に出すのが厳禁ですが、形容詞などを使って数字のイメージや表現のニュアンスを伝え合い共有する行為は問題ありません。ある程度フリートークをした後、より数字の小さい手札から順番にリリースし、全ての手札が場に出そろったら第1ラウンドクリアです。
ペナルティとライフ
万が一、手札よりも大きな数字が場に出てしまった時には、ペナルティが発生。場に出ている数字よりも小さい手札を隅によけて、その枚数分のライフを減らさなければなりません。ライフはゲーム開始時に参加プレイヤー人数×3個が用意されており、0になると即刻ゲームオーバーです。ラウンドをクリアした際には、ボーナスとしてライフ1個が復活します。但し、ゲーム開始時のライフの数が上限となっており、それ以上に増やせません。つまりペナルティをくらっていなければ、ボーナス特典はなしとなります。
第2ラウンドからは高難度
第2ラウンド以降も基本的には第1ラウンドと同じ要領でゲームが進行するものの、難易度が格段に上昇します。なぜなら、ラウンドを重ねる度に手札が1枚ずつ増えるため。それゆえ頭の中で処理しなければならない情報量が急激に増えてしまい、周囲との連携が難しくなります。また第3ラウンドは手札を3枚に増やすと共に、山札から1枚を引いて表向きの状態で場にスタンバイ。この場に出た数字(通称:モモちゃんのナンバー)を指標に会話を進められますが、第1ラウンドと比較するとクリアが非常に困難です。
「アカイイト」
「アカイイト」は、裏切りと協力、両方の要素を楽しめるゲームです。沈みゆく豪華客船を舞台に、プレイヤーは「運命の相手」を探索します。「運命の相手」の条件は手札の数字を合算すると100になる相手です。100ピッタリのペアが今回のゲームの勝者となります。また「運命の相手」の条件を可能な限り満たし、5ポイント以上を稼いだプレイヤーが2人以上になれば、そのプレイヤー全員が勝者です。それでは具体的な遊び方を確認しましょう。
「アカイイト」の遊び方
出典元:マーマン Asobi チャンネル
「クモノイト」と遊び方がほぼ同じですが、異なる点が少々あるため、要注意です。まず各プレイヤーはナンバーカード1枚を手札とします。そして任意で1番手を決め、そのプレイヤーはテーマカードの山札から2枚を引き、今回のゲームのテーマを選択。続いて手札の数字を名詞や形容詞で発表します。時計回りに発表をおこなった後フリートークに移行し、いよいよ「運命の相手」探しのスタートです。
「運命の相手」を探す
「運命の相手」とペアになれる確率は極めて低いため、より100に近づける相手を探し、「ペアになりませんか」と誘います。但し、ペアが成立しても100を超えてしまうと、2人そろって全くポイントが加算されません。そのため、得点がトップのプレイヤーの発表に合わせて嘘をつき、あえて100オーバーのカップルになるという行為も戦略の1つです。
「ito」のゲームレビューを紹介
数字をテーマに沿って言葉のみで表現するという「ito」独自のルールによって、ゲームの最中にはユーモアたっぷりの表現が次から次へと飛び出します。終始、皆でワイワイ楽しめるところが特徴です。とくに「クモノイト」では、わずかな差の手札をルールの通りに出し切れると、思わずハイタッチしてしまうほど痛快。協力ゲームならではの一体感を味わえます。年齢やゲーム歴に関係なく楽しめる魅力満載の「ito」ですが、微妙な部分はないのでしょうか。
「クモノイト」のレビュー
「クモノイト」は何度も遊びたいと思う面白さがあるものの、ゲーム序盤に最小の数字を場に出したプレイヤーが手持ち無沙汰になりがち。まだ手札をリリースしていないプレイヤーの議論を聞くだけになり、暇になってしまうそうです。また、第2ラウンドに進んで手札を2枚に増やすと、プレイヤー全員の発表を覚える作業に苦労し、本来のゲームの楽しさを感じにくくなることも。そのため第2ラウンド以降も手札を1枚のままでプレイする人もいるらしいです。
「アカイイト」のレビュー
「アカイイト」では、ペアの成立を目指さなければならないため、交渉術と社交性が欠かせません。ゆえに消極的なプレイヤーはペアを作れず、あぶれてしまう可能性が高いです。あまっているプレイヤー同士で仕方なくペアになるという状況が起きやすいため、「アカイイト」で遊ばないという人もいる模様。その一方では、「クモノイト」と異なる緊張感や、ターゲットを道連れにする戦略が好評をはくしており、「アカイイト」のリピーターも少なくありません。
まとめ
「ito」は、そのタイトル名の通り相手の意図を汲んで、数字の大きさを推測する新感覚カードゲームです。会話がゲームの主軸となっているため、複雑なルールを覚える必要がありません。ボードゲームに不慣れな人でも直ぐにプレイできます。微妙な部分が全くないというわけではありませんが、総合的な満足度が非常に高く、一家に1台あると重宝しますよ。