2008年にフランスで誕生した「ディクシット」。2009年から2011年にかけて欧州の著名なゲーム賞を幾つも受賞するなど、大ヒットを記録しているボードゲームです。日本語版の他、拡張セットやディズニーとコラボした派生作品が発売され、国内でも着実にファンが増加しています。
そんな人気作である「ディクシット」は、どのようにして遊ぶのでしょうか。
「ディクシット」の基本情報
タイトルにラテン語で「彼が言った」という意味がある通り、抽象的な図柄を自由に言葉で表現することがゲームの目的。どの図柄について説明しているのか他のプレイヤーに当ててもらう必要があるのですが、全員に言い当てられるのはNGです。絶妙に曖昧な表現を使わなければならないため、奇想天外な言葉が飛び出すことも。2021年にはバラエティ番組「櫻井・有吉THE夜会」で木村拓哉さんが「ディクシット」を紹介し、話題になりました。
- プレイ人数:3~8人
- プレイ時間:30分
- 対象年齢: 8歳以上
- ジャンル:お題系/戦略対戦系
- 発売年:2008年
- 発祥国:フランス
「ディクシット」とはどんなゲーム?
プレイヤー1人1人が順番に語り部を務め、そのたびに得点を計算します。得点は30個のマスが描かれている専用ボードで管理。各プレイヤーは得点に応じて自分のコマを専用ボード上で進め、誰よりも早く30個目のマスに到達することを目指します。最初に30点を稼いだプレイヤーの勝利です。何度かゲームを繰り返せば、得点の計算方法や高得点を稼ぐコツが身に付きますよ。
遊び方の流れ
出典元:オモコロチャンネル
まずは図柄が描かれているカード全84枚を裏向きのまま束ねてシャッフルし、各プレイヤーに6枚の手札を配布してゲーム開始です。1番手のプレイヤー、つまり最初に語り部を務める人は手札の中から1枚だけ選び、裏向きの状態で手元に配置。そしてカードの図柄に合わせて自由に表現します。表現の仕方は、図柄を連想させる歌や形態模写、踊りなど、言葉以外でもOKです。ノリノリで歌ったり、身体全体を使って表現したりすると、盛り上がりますよ。
全プレイヤーのカードを混ぜて並べる
他のプレイヤーは、語り部の言動を踏まえて図柄のイメージを想像し、最もピッタリ合うものを手札の中から1枚だけ選択。それを裏向きの状態で語り部の手元に提出します。こうして集まったプレイヤー人数分のカードすべてを十分にシャッフルした後、1枚ずつ表向きにして横一列に配置。そして左側に位置するカードから順に番号をふり、どれが語り部のカードであるかを各プレイヤーが推理します。
投票と得点の計算
語り部以外の各プレイヤーは、語り部のカードであると推理した番号の投票トークンを裏向きの状態で手元に準備します。投票トークンが出そろったら一斉にオープンし、それぞれを該当するカードの付近に配置。ここで語り部が正解のカードを伝え、得点を計算します。語り部に点数が入るのは、他のプレイヤーのうち1人以上が正解した時のみ。ただし全員が正解した場合には0点です
独特の点数システム
語り部以外のプレイヤーは、数人が正解を言い当てた時だけでなく、その他にも得点のチャンスがあります。全員が正解もしくは不正解の時、自分が提出したカードに投票トークンが置かれた時、これら3つのケースでも点数をゲット可能です。この独特の点数システムが採用されているため、語り部は全員に正解されないように表現の仕方を工夫しなければなりません。
ゲーム終了のタイミング
点数を計算したら、専用ボード上のコマを動かしましょう。例えば、3点を獲得した場合には、3マスほど自分のコマを進められます。すべてのプレイヤーのコマの移動が完了したら第1ラウンド終了。その後、各プレイヤーが手札を1枚ほど補充してから、第2ラウンドをスタートです。時計回りに語り部の役が移り、再びカードの言い当てを行います。何度かゲームを繰り返し、誰かが30個目のマスに到達した時点でゲーム終了です。
「ディクシット」のレビューを紹介
「ディクシット」はカードの絵柄から得点計算用のアイテムに至るまで、1つ1つにユーモアあふれるデザインが採用され、思わず手に取って遊びたくなる仕様。そのためボードゲーム初心者でもプレイ前のルール説明で飽きてしまう可能性が低く、スムーズにゲームを始められるらしいです。その他どのような魅力を「ディクシット」は持っているのでしょうか。
表現を考える時間が楽しい
語り部を務める際には、あまり詳しく説明できないため、どのように表現するべきか考えなければなりません。分かりやすい表現では多くのプレイヤーが点を稼ぎ、最悪の場合みんなが正解してしまいますからね。かといって難解すぎる内容では誰にも理解してもらないリスクが伴うため、かなり悩ましいです。ひねり出した言葉やアクションがプレイヤー1人のみに伝わると、最高に気持ちいいですよ。尚、語り部の長考が気になる時は、制限時間を設定しましょう。
会話が弾む
絵柄を説明する際には、自分の直感を大事にして表現することも重要です。絵柄に登場するキャラになりきって感情を伝えたり、身振り手振りで説明したり、自由な表現が出てくれば、正解発表の時の議論も大いに盛り上がります。「何故この絵柄であのアクションをとったの?」「いやいや簡単すぎるよ」などの意見が飛び交い、自然とコミュニケーションを深められますよ。とくに子供が参加していると、その柔軟な発想や着眼点に驚かされます。
誰もが慣れ親しみやすい
ゲーム内でプレイヤーがとる行動は、「絵柄の説明」と「語り部のカードを当てる」、この2つのみ。実にシンプルで分かりやすいため、「カタン」のような中量級ボードゲームほど敷居が高くありません。普段ボードゲームで遊ばない人や幼い子供も慣れ親しみやすいです。ボードゲームに興味があるけれども、どれを購入すれば分からない場合には、まず「ディクシット」をプレイしてみるのがいいかもしれませんね。
拡張版について
2025年8月時点(現在)、「ディクシット」の拡張版は全10種類です。続編の「オデッセイ」以外の9種類は追加機能がありません。異なる点は絵柄のテーマのみながら、それぞれ担当しているデザイナーが違うため、雰囲気が千差万別です。ゆえに拡張版を追加すれば絵柄のバリエーションが格段に増え、表現の幅も広がりますよ。ここからは、とりわけ人気がある拡張版2つを紹介します。
「ディクシット:ジャーニー」
1つめに紹介する拡張版は「ディクシット:ジャーニー」。拡張版の第2弾までマリー・カルドゥワさんがデザイナーを務めていましたが、第3弾の「ディクシット:ジャーニー」ではザビエル・コレットさんがイラストを描いています。「旅」という意味がある言葉をタイトルに使っている通り、物語の旅の一場面を切り取ったような絵柄が印象的です。幻想的かつ美しい絵柄を好む人に支持されています。
「ディクシット:アニバーサリー」
2つめに紹介する拡張版は「ディクシット:アニバーサリー」。「ディクシット」発売10周年を祝して制作された記念作です。過去に「ディクシット」に携わったデザイナーたち総勢9人がイラストを描いています。それゆえ絵柄のバリエーションが実に豊富です。さまざまなジャンルの絵柄がバランスよく含まれているため、どの拡張版を購入するべきか悩んでいる人にオススメですよ。
まとめ
「ディクシット」は世界各地でコミュニケーション・ボードゲームのブームを起こしている傑作です。遊び方がシンプルなため、どこで誰と一緒に遊んでも楽しめます。親戚や友達が集まった時には、「ディクシット」さえあれば盛り上がること間違いなしです。また基本セットと共に拡張版を使うと、表現の幅が拡大し、面白さも倍増します。ひとしきり基本セットをプレイした後は、拡張版の購入を検討してみてください。